「人」から始める働き方改革|カウンセリング活用で強い組織を作ろう!
働き方改革は単なる労働時間の短縮や制度変更でなく、その目的は、組織全体の生産性や持続性を高めることにあります。特に社員のエンゲージメント(貢献意欲)の向上は、離職率改善や生産性向上につながるため「社員一人ひとりの心身の健康管理」が企業にとって重要となります。
今回は人事部・総務部・管理職の方に「本質的な働き方改革を実践するためのカウンセリングの活用方法」をお伝えします。
組織全体のパフォーマンス向上につながる「強い組織をつくるカウンセリング」で、理想の働き方改革を目指しましょう。
働き方改革の本質とは?

働き方改革は「長時間労働の是正」や「非正規雇用の処遇改善」に焦点が当たりますが、その根本には「現在の日本に合わせた働き方・働く環境を作ろう」という想いがあります。
こうした背景を踏まえると、組織全体の生産性や持続可能性を高めるためには、業務改善や福利厚生の充実に加えて、社員一人ひとりの心身の健康を支える“ウェルビーイング”を高めることが、まさに今求められている改革の本質と言えるでしょう。
それは、組織を構成するのは「人」であり、人のコンディションが組織の成果に直結するからです。いくら制度や業務プロセスを改善しても、そこで働く人が疲弊していたり、心の余裕がなければ、本来の力を発揮することはできません。
ウェルビーイングが高い状態では、集中力・創造性・対人関係力が自然と高まり、生産性も向上します。社員が仕事に対して前向きになり、「ここで働いていてよかった」と感じられるかどうかは、心の満足度、つまりウェルビーイングの状態に強く関係しています。
だからこそ、働き方改革の根本には「制度」だけでなく「人のウェルビーイング」が必要なのです。単なる“メンタルサポート”ではなく、組織の持続的成長のための土台づくりとして取り組むことが大切です。
社員の生産性を高める「ウェルビーイング」

ウェルビーイングとは単に「病気にならない」状態ではなく、心・身体・社会的なつながりのバランスが取れた健康な状態を意味する言葉です。
- 食事・睡眠・運動のバランスが良い「身体的ウェルビーイング」
- 気分が安定している「精神的ウェルビーイング」
- 家族・友人・職場の人間関係が良好な「社会的ウェルビーイング」
日常生活の中の様々な要素がウェルビーイングの充実には欠かせません。
ウェルビーイングが低下した状態は、集中力の低下、判断力の鈍化、人間関係のトラブルなどにつながり、日常生活や仕事において問題が起こるリスクが高い状態だと言えます。
小さな不調の積み重ねは、欠勤・早期離職・燃え尽き症候群(バーンアウト)に発展することもあります。個人の問題は組織全体にも波及し、結果として生産性の低下や職場全体の士気低下を引き起こす可能性があるので注意しなければいけません。
誰もが安心して働ける環境を整え、会社全体のウェルビーイングの向上を目指すことが重要視されています。
アドバンテッジJOURNAL記事では「生産性の高い」企業の取り組みについても解説しています。チームビルディングやコミュニケーション改善をご検討の場合は、ぜひこちらもご覧ください。
参考:生産性もアップ!社内コミュニケーションの活性化アイディア
参考:生産性が高いチームに不可欠な心理的安全性の作り方と、その取り組み事例
強い組織をつくる「メンタルヘルス対策」の取り組み

実際にどのようなサポートや工夫が社員のウェルビーイングを実現し、エンゲージメントを高めるのでしょうか。
企業の大きさや業界によって適切な方法は異なるため、まずはケーススタディや自社の状態を把握するところから始めてみましょう。
グループ全体でサポートし合う取り組み
性別・年代特有の疾患、妊活、子育て、介護など、ライフイベントと働き方の両立に悩む社員は少なくありません。
職場の仲間が、そうした悩みや困難について正しく理解し共感できるかどうかは、働きやすい環境づくり、ひいては働き方改革の実現で非常に重要なポイントです。
ここで大切になるのが「ピアサポート」の考え方です。
ピアサポートとは、同じ経験を持つ人同士で支え合う取り組みのこと。同じような立場や悩みを持つ者同士だからこそ上下関係なく、対等な立場で分かり合えることが大きな特徴です。
例えば、子育てや介護経験などは、当事者同士だからこそ、分かり合えたり心が救われたりするケースも少なくありません。
そんなピアサポートでは、具体的に以下の取り組みを行います。
- 悩みに対する会話をする/傾聴する
- 体験談を分かち合う
- 解決策を考えたり、サポート情報を伝えたりする
ただ聞くだけで救われる人もいるため、評価やアドバイスをせず、相手の話をしっかり聞いて「わかるよ」「同じ経験あるよ」と共感したり、自分の体験談を共有して「1人ではない」と感じてもらったりします。中には会社が座談会を主催して当事者に登壇してもらったり、社内に「パパ・ママ会」などのコミュニティを設立して「ヨコの繋がり」を促進したりする取り組みをしている企業もあります。
また外部サービスをうまく活用できないケースや、知識・情報が不足していることで、1人で悩んでしまうケースもあります。「こういう支援窓口があるよ」「〇〇の窓口でこんなふうに助けてもらえたよ」など、相手が必要と感じたときにだけ情報をやさしく伝えながら、困っている同僚をサポートすることも行われています。
そのほかにも「性別・年代特有の疾患、妊活、子育て、介護」などのテーマについて、外部講師を招いて社内で勉強会を開催することも一案です。
実体験がなくても、自分の悩みに対して真摯に向き合って理解しようとしてくれる人が周囲にいたり、理解者が増えたりするだけでも孤立感が和らぎます。周囲への相談行動が促され、結果的にストレスの緩和に寄与する好循環が生まれやすいと言えるでしょう。
ピアサポートの機能をより高めるためには、研修やワークショップを通じてメンタルヘルスや精神疾患に対する社内の理解を深めることも効果的です。職場内にメンタルヘルスへの理解者が増えることで、社員同士が支え合える関係性が、自然と育まれやすくなります。
研修やワークショップの開催により「会社が持つメンタルヘルスに対する考え方」が従業員に伝わり、社内の安心感が醸成されてくることも期待できるでしょう。
こうしたピアサポートを始めとしたサポート文化が根づくことで、メンタルヘルスに対する相互理解が深まり、誰かが誰かの力になれる組織へとつながっていきます。
そのほか、EAP(従業員支援プログラム)、1on1ミーティングなどの手法を活用する企業も増えています。期待する効果や組織に合わせた手法を選び、社員のメンタルサポートを行うことが大切です。
社内規則などを根本的に見直す必要がある取り組み
部署ごとに裁量がある場合は、以下の取り組みを導入する方法があります。
組織ごとに導入できそうな取り組みとして、以下から始めてみましょう。
1. 選べるフレックス制度
フレックス制度を導入しやすい部署などの場合は、「働き方改革の取り組み」として効果的だと言えます。
社員の出勤時間を「7:00〜10:00」などと幅を持たせ、通勤ラッシュの回避や育児や介護、通院などの個人の事情に合わせた働き方ができるメリットがあります。
2. ノー会議デー/ノー残業デーの徹底
毎週決まった曜日に会議や残業を禁止する「ノー会議デー/ノー残業デー」は導入している企業の多い取り組みです。経営層からの徹底と社内の意識づくりが成功のコツで、働く時間のメリハリ化や集中タイムの確保といったメリットがあります。
3..定期的なリフレクションの取り組み
業務改善、自己成長意識、心理的安全性の向上を目的に「リフレクション」を設ける企業もあります。
リフレクション」とは、自分自身の行動や思考を振り返る行動です。最近では日本企業のなかにも、業務を一時停止して社員がリフレクションに取り組む時間を設ける動きが広がっています。業務を一時停止して、振り返り・内省・学びに集中する日を設けることで、組織と個人の成長を促進させることが目的です。
そのほかにも、すんなりとした導入は難しいものの、インパクトの大きな取り組みとして以下も挙げられます。
<導入は難しいが効果の高い取り組み>
- 週休3日制度
- 社内副業・越境学習の推奨
- 在宅勤務+コワーキング活用(ハイブリッド型)
- ジョブクラフティング
まずは、企業体制、所属部署ごとの特徴を把握して、各環境に合った取り組みを知るところから始めてみてください。
個人に対するカウンセリング
専門的な知識や技術を持ったカウンセラーによるカウンセリングは、社員のメンタルヘルスケア、エンゲージメントの改善に効果的です。
例えば、当社にご相談いただいた事例をご紹介します。
会社員Aさんは、ここ数年の会社からの業務評価に不満を抱いていました。
「新たな業務やスキルアップにチャレンジしているのに、評価されない・・・」
そんな中、上司から新業務としてメンバーのフォローを依頼され「自分のこともで精一杯なのに人の面倒までみれない」と意欲を失ってしまったそうです
そこでカウンセリングでは“評価されない=能力不足”と受け止めているAさんに対し、その悔しさや不安に寄り添いながら、自身に否定的なイメージを当てはめてしまう「レッテル貼り」という考えが生じている可能性をお伝えしました。
ご自身の能力不足に悩むAさんでしたが、実は「他の社員はAさんの丁寧なフォローによって成長できた」という実績をお持ちでした。「上司もそんなAさんの能力を認めて、新たなフォロー業務を依頼したのではないか?」という新たな気づきを得られたようです。
努力の結果が評価されなかったことは残念ですが、カウンセリングを通じて自身の成長に気づけたAさん。
新たな視点の発見は
- 自分の価値の見直し
- モチベーションや自信の回復
- 職場環境への適応力や生産性の向上
などにつながります。
社員が自身の感情や状態を理解し、気持ちを整えることは、ストレス予防やメンタル不調の早期対応にも効果的です。
ぜひ強い組織づくりの一環として、カウンセリングの活用をご検討ください。
▼より詳細な事例紹介はこちらから
https://www.armg.jp/journal/347-2
メンタル不調者ゼロ + 社員のパフォーマンス向上を目指すなら | アドバンテッジ カウンセリング
まとめ:働き方改革で社員一人ひとりを大切にした企業を目指そう

働き方改革はいきなり「生産性の向上」や「離職率の改善」を目指すのではなく、社員のエンゲージメント向上に目を向けることが重要です。
業務改善や福利厚生の充実も大切ですが、社員一人ひとりの心身の健康を支えるウェルビーイングに注目し、組織全体のパフォーマンス向上を目指しましょう。
特に専門家による「カウンセリング」は社員のメンタルをケアし、ストレス予防やメンタル不調の早期対応につながります。専門家がポジティブ思考に伴走し、社員が自ら成長・貢献したくなる環境を作ることで、強い組織づくりの土台が育ちます。
社員一人ひとりを大切にした働き方改革で、活き活きと働ける職場環境を実現しましょう!