心の栄養、足りてますか?
私たちは、“身体の健康”を保つために食事や運動に気を配ります。しかし、“心の健康”を保つための「心の栄養」には、どれだけ意識を向けているでしょうか。
精神科医エリック・バーン博士は、人間には「人に触れてもらいたい」「認めてもらいたい」という基本的な欲求があると述べています。この欲求を満たす働きかけを、バーン博士は『ストローク』と呼びました。
ストロークとは、簡単に言えば“あなたの存在を認める言葉や態度”のことです。成長とともに、身体的な接触を求める欲求は、認知されることへの欲求へと変化していきます。人が生きていくうえで、ストロークは欠かせないものです。ストロークが不足すると、元気がなくなったり、不安を感じたりすることもあるでしょう。
今回は、職場におけるストロークについて考えてみたいと思います。

ストロークには2種類あります
ストロークは、受け手が心地よく感じるかどうかによって、“肯定的なストローク”と“否定的なストローク”に分かれます。
例えば、笑顔や感謝の言葉は肯定的なストローク、無視や冷たい態度は否定的なストロークです。肯定的なストロークは、職場における心理的安全性の向上にもつながります。
日常のちょっとした声掛けが、安心感を育てる第一歩です。
職場でできる肯定的なストローク
例えば、「相手の名前を呼ぶ」ことも存在を認知するストロークのひとつです。
挨拶に名前を添えるだけでも、簡単にストロークを届けることができます。そこに笑顔を加えられれば、さらに効果的です。
相手の様子をよく観察し、どんなストロークが心地よく感じられるのかを探ってみるのもよいでしょう。


ストロークを得るためには
自分からストロークを与えることで、相手からもストロークが返ってくることがあります。これは「好意の返報性」と呼ばれる心理的傾向で、好意を示されると、自然と同じように好意を返したくなるものです。
もし自分へのストロークが少ないと感じたときは、人にストロークを与えるだけではなく、自分自身を励ましたり、ねぎらったりするなど、自分で自分にストロークを与えることも大切です。
ストロークを考えるときに
ストロークは、対人コミュニケーションにおける一つの考え方です。そのため、必ずしも人とのかかわりを求めなくても、自分一人で生活を楽しめる方もいらっしゃいます。
もしも、ストロークの考え方に関心がある方は、ぜひ生活の中に取り入れてみてください。
ただし、人それぞれ求めるストロークは異なるため、やり取りに困る場面が出てくることもあります。また、ストロークを与えることに抵抗を感じたり、そもそもその気持ちになれないと悩む方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときは、当センターのカウンセリングをご利用ください。カウンセラーと一緒に考えてみることも一つの方法です。どうぞお気軽にご利用ください。
